映画 マーガレット サッチャー。 映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」から英語の名言を学ぶ

映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』ネタバレあらすじ結末|映画ウォッチ

映画 マーガレット サッチャー

解任までもささやかれる中の、1982年4月2日朝、英国中を揺るがす一大事件の報が英国民の耳に飛び込んできた。 「アルゼンチン、フォークランドに武力侵攻」。 英国が南太平洋上で実効支配するフォークランド諸島の領有権を主張するアルゼンチンが、同諸島を取り戻そうと、突如部隊を派遣したのだ。 つい1週間前、国防省はひとつの軍事計画を提示していた。 それは、アルゼンチンのフォークランド侵略を抑止する防衛計画。 ところが、サッチャーは「アルゼンチンがまさかそんな愚かなことをするはずがない」と取り合わなかった。 まさに青天の霹靂というべき事態が今、現実のものとして英国を襲ったのである。 サッチャーは間髪を入れずに軍隊の派遣を主張。 党内には慎重論が多かったものの半ば強引にまとめ、武力行使に応戦する意向を示した。 そして空母2隻を主力とする軍隊がフォークランドに向けて出動した。 のちに「フォークランド紛争」と呼ばれる戦いである。 1ヵ月半が過ぎたころ、サッチャーのもとに一本の電話が入る。 中立の立場にあった米国のロナルド・レーガン大統領からだった。 「アルゼンチンを武力で撃退する前に、話し合いの用意があることを示すべきではないだろうか。 それが平和的解決の糸口だ」 するとサッチャーは、「アラスカが脅威にさらされたとき、同じことが言えますか?」と反論。 その強い信念を誰に止められよう。 「軍事力によって国境が書き換えられることがあってはならない」と、武力には屈しない姿勢で提案を跳ね返したのだ。 英国民にとって、はるか遠くに位置するこの諸島は、決してなじみのあるものではなかったが、日々伝えられる戦況に触れ、かつて大英帝国と称された誇りの、最後の断片をたぐり寄せるかのように、愛国心は高まりを見せていく。 そしてアルゼンチンのフォークランド上陸から約2ヵ月、アルゼンチンの降伏によってこの紛争に終止符が打たれた。 「Great Britain is great again. 英国は再び偉大さを取り戻したのです」。 この勝利は、フォークランド諸島を守り抜いたという事実以上のものを意味し、将来の見えない母国に不安を感じていた国民の心に大きな希望の光をともした。 右肩下がりだった『冷血な女』の支持率は、祖国に自信を取り戻させた『英雄』として、急上昇するのだった。 翌年に行われた総選挙では、労働党に対し、前回の選挙を上回る圧倒的大差をつけて勝利。 政権は2期目に突入し、サッチャーの世直し政策は勢いを増す。 良好な盟友関係を築いていたロナルド・レーガン米大統領と。 1984年、 米大統領別荘キャンプ・デーヴィッドにて。 夢を与えた大衆参加の資本主義 首相就任直後から行われた国有企業の民営化も、引き続き実施されており、国民生活に大きな変化をもたらしていた。 新政権発足時に政府の管理下にあった企業の数は、放送や銀行などの公共性の高い企業のほかに、およそ50社。 なかには、今では民営が当たり前と考えられるような、自動車メーカー「ロールスロイス」「ジャガー」なども含まれた。 国が運営する以上つぶれる心配はないといった安心感は、同時に就労者の意欲や向上心を低下させる。 そう考えるサッチャーのもと、国有企業の民営化が次々と図られていった。 民間への移管は、政府の持ち株を一般大衆も対象に売却する形で行われた。 つまり従業員も株を取得することが可能となり、業績が好転すれば配当金も受け取れるようになった結果、株主たる労働者の仕事に対する姿勢が変わったのは言うまでもない。 さらに政府が所有する資本の切り売りは、住宅分野にも適用された。 低所得者に賃貸されていた公営住宅の大胆な払い下げが実施されたのだ。 階級社会の英国で、当時、家や株などの資本を持つということは、上流あるいは中流層の特権。 そのため労働者層にとって、マイホームを持つということは、夢のまた夢と考えられていただけに、人生観に大きな変化を生じさせかねないほど革新的な政策だった。 サッチャーは勤勉に励めば夢がつかめるということを示し、その夢は手頃な価格で手に入るよう配慮された。 売却額は平均で相場の50%オフ。 破格のものだった。 この政策を通し、一部の労働者層は、これまで手に届くはずなどないと思われた幸福をつかみ、財を手にする者も増えていった。 サッチャーは、「労働者階級の革命家」とも称されるようになる。 Great Britain is great again. (英国は再び偉大さを取り戻したのです) フォークランド紛争から帰港した空母「HMS Hermes」。 勝利を祝うため多くの市民がユニオン・ジャックを手にかけつけた。 労働組合との死闘 労働組合が強大な力を有していたことも、英国経済と人々の勤労意欲にブレーキをかける原因のひとつだった。 1970年代には毎年2000件以上のストライキが行われるような状況の中で、企業経営者の経営意欲は低下。 好んで英国に投資する外国企業などあるはずもなく、サッチャー政権にとって労働組合の力を押さえ込むことは急務だった。 なかでも、やっかいな存在だったのは全国炭鉱労働組合(NUM: The aional Union of ineorkers)だ。 石炭は国の重要なエネルギー資源であるため、彼らは政府の弱みを握っていたといっても過言ではない。 当然、政府もしぶしぶ要求を呑まざるを得ない状況にあった。 1973年にはストによるエネルギー不足のため、当時の政府が国民に「週3日労働」を宣言したこともあるほどだ。 そのNUMに、まるで宣戦布告をするかのようにサッチャーが打ち出した政策は、採算の取れなくなっていた鉱山20ヵ所を閉鎖し、合理化を図ることだった。 もちろんNUMはだまっていない。 1984年3月、無期限ストに突入した。 政府にも劣らぬ権力を持っていたNUMは、サッチャー政権の打倒を目指し、政治闘争を激化させた。 サッチャーにとって敗北はつまり、政権の終焉を意味し、結果次第では自身の進退も問われる状況となっていた。 当初は勢いのあったNUM。 しかし、ストが長期化するにつれ、ストよりも雇用の確保という現実的な世論が強まり、次第に力を失っていく。 これに対し、サッチャーは組合活動に規制を設けたほか、非常事態に備え、あらかじめエネルギー供給源を確保するなど、緻密な準備を行い、挑んでいく。 最終的には政府の『作戦勝ち』で1年に及んだ闘いは幕を閉じた。 以降、労働組合によるストは減り、組合の攻勢の中で萎縮していた企業経営も活動意欲を見せ、健全さを取り戻していくこととなる。 一方、炭鉱の町では、「私の家族は、あの女に殺された」と、今も根に持つ人も少なくない。 仕事を奪ったばかりか、町に暮らす若者の希望の芽を摘み取ったと嘆く人もいる。 職を失い途方にくれる人々にとって、『鉄の女』がもたらした政策は非情かつ冷徹。 弱者を踏み潰したと、恨みを募らせていった。 サッチャーの毅然とした態度は、「そんなことなど構うものですか」という印象を与え、ますます嫌われていくようになる。 このように、サッチャーが求めた国民の意識改革は、すべての人を幸せにしたわけではなかった。 見方によっては、弱者を支えた福祉制度を壊し、自由という名の競争社会で強者をより強くしたと捉えられ、さらなる格差につながったといわれている。 またコミュニティの崩壊により、周りと協力し合った時代は過ぎ去り、代わって訪れたのは、自由競争社会の中で、自分さえ良ければいいという自己中心的な社会と指摘する人もいる。 産業の活性化を目指し、英国企業の売り込みや、外国企業の英国誘致を先頭に立って行ったサッチャー。 日本の自動車産業にも目をつけ、1986年9月に日産自動車が進出するに至った。 英国日産本社の開所式に訪れ、発展を祈った。 世界中から資金が集まり、なかでもロンドンは世界最大級の金融都市に発展したことで、サッチャーの政策は一定の評価を得てきた。 しかし2007年に起きた世界金融危機は、英国金融業界にも深刻な影響を及ぼした。 脆弱さが露呈し、サッチャリズムの重大な欠陥として表面化している。 また製造業から金融業などのサービス業へと重点がシフトしたため、国内の産業が空洞化する結果となった事実は長年指摘されていることである。

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映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』ネタバレあらすじ結末|映画ウォッチ

映画 マーガレット サッチャー

の紹介:2011年イギリス映画。 主演サッチャー役を熱演したメリル・ストリープは、本作品で第84回アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。 監督:フィリダ・ロイド 出演:メリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー)、ジム・ブロードベント(デニス・サッチャー)、オリヴィア・コールマン(キャロル・サッチャー)、ロジャー・アラム(ゴードン・リース)、イアン・グレン(アルフレッド・ロバーツ)、ほか 目次• マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:1.プロローグ:「鉄の女」マーガレット・サッチャーの今 舞台は英国、小さな食料品店で、ひとりの老婦人が買い物をしていました。 彼女は置いてあった新聞の「ホテルで爆発」という記事に目を奪われました。 彼女はデニスがトーストにバターを塗りすぎるので注意しました。 デニスは彼女に「気をつけろ。 うろついているぞ」と言うと、彼女はドアの隙間から外にちらっと目をやりました。 ドアから入って来た家政婦は「あらあら、ここでしたのね」と言うと、彼女は「そうよ。 私たちはここ」と言いました。 しかし、そこにいたのは彼女ひとりだけでした。 彼女は年老い、認知症を患い、しばしば幻想を抱くようになっていました。 今は亡き夫・デニスの姿は彼女にしか見えませんでした。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:2.胸に残る父の言葉 ドアの隙間から警備員や家政婦のひそひそ話を聞いたサッチャーは、夫・デニスが着るスーツを品定めし、デニスに奨めました。 窓から外を見るとパトカーと警官たちがいました。 デニスはサッチャーに「連中の仕事は君を監禁することだ」と言い、外出しました。 そこにスージーがサインする本を持って来て、今後のスケジュールを伝えてきました。 その中にコンサートがありました。 そのプログラム名を聞いたサッチャーは、想い出の曲『シャル・ウィ・ダンス』を思い浮かべました。 それは夫・デニスとの思い出の曲でした。 出版された自身の伝記本に、サッチャーは「マーガレット・サッチャー」とサインをしていきますが、つい旧姓「マーガレット・ロバーツ」と書いてしまいました。 ふと、彼女は昔のことを回想しました。 時は第二次世界大戦時、ドイツ軍の空襲にあった英国、小さな食料雑貨店の家に生まれたマーガレット・サッチャーは、空襲警報が鳴る中、家族と共に防空壕に隠れていました。 「バターに蓋をしたか」という父の言葉を聞き、勇敢にも彼女は防空壕を出て、バターに蓋をして、防空壕に戻りました。 翌日、戦時下にあってもいつも通り、店を開ける父を敬愛し、彼女は店の手伝いをしました。 「人に影響されてはいかん。 自分の道を行け」という政治家の父の言葉を胸に刻み、サッチャーは同世代の若い女性たちがオシャレをして遊ぶ中、勉学に勤しみ、名門オックスフォード大学に合格しました。 夢から覚めたサッチャーは、ベッドから目覚めると、夫・デニスがピンクのターバンを頭に巻き、戯けて見せました。 その時、娘のキャロル・サッチャーが来ました。 その日は、亡き夫の遺品を整理することになっていて、キャロルはそれを手伝いに来たのでした。 サッチャーは昨日の今日の事なのにすっかり、その事を忘れていました。 その時、サッチャーはテレビであるホテルの爆破事件の悲惨なニュースを観ていました。 彼女は自身が首相時代に夫・デニスと宿泊したホテルでの爆破事件の時のことを思い出していました。 サッチャーは「哀悼の意を表しましょう。 声明文を出さなくては。 我々は何があってもテロリストに屈してはなりません」と毅然と言い、立ち上がりました。 それを聞いた娘・キャロルは「もう、それは誰かが」と老いた母に諭しました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:3.サッチャー、政治家への第一歩 その日は、旧友との昼食会の日でした。 娘の案内でその部屋に入ったサッチャーは、若い頃、初めて夫となるデニスと出会った食事会の時のことを思い出しました。 政治家でもあり市長も勤めた父を持つサッチャーは、オックスフォード大で学位を取り、政治家への道を志しました。 ただ裕福ではなかった家庭で育ったサッチャーは、正式な食事のマナーに戸惑いました。 そんなサッチャーに、デニスはこっそり教えてくれました。 大人たちの政治の議論が始まり、サッチャーは意見を求められました。 彼女ははっきりと自分の意見を述べました。 「人は誰もが自分の二本の足でしっかり立つべきです。 もちろん、助け合いは必要です。 …男性は財政面の責任だと言いますが、女性は家計のやりくりと言います」と。 すると、ある男がその意見に反論をして「この難題を解決する男がいたら、一票入れるね」と言いました。 それを聞いたサッチャーは「女かも」と言い返しました。 するとデニスはくすっと笑いました。 そんなサッチャーを見たある女性が「殿方だけにしましょう」と女性を部屋から出しました。 男だけになった部屋から「やれやれ、男だけになった」と笑い声をサッチャーは耳にし、不快感を覚えました。 そんな回想をしていると、サッチャーに今回のホテルの爆破事件について、旧友の男性が「あなたが首相ならどう対処しますか?」と意見を求めてきました。 サッチャーは「人間はいつの時代も悪と競争してきたわ。 …貪欲に殺戮を繰り返しては、罪もない人をなんの躊躇もなく死に追いやっている。 西欧文明はそういう悪を白日の下に晒し、根絶せねば。 …」と毅然と述べました。 食事会が終わり、サッチャーの昔の演説に感動した若い女性が、彼女のもとに来ました。 サッチャーはその女性に「あの頃の政治家は何かをしようとしていたわ。 でも、今は力を持つ人間になろうとしている」と語りました。 認知症の母・サッチャーに、寝る前に娘・キャロルは「ママはもう首相じゃないわ。 それから、パパは死んだの」と言い、母の頬にキスをして、寝室を出ました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:4.結婚し妻に、そして母に、そして政治家に 時は遡り1950年、24歳のサッチャーは保守党から下院議員選挙に立候補しましたが、惜しくも落選してしまいました。 それを慰めに来たのはデニスでした。 デニスはサッチャーに「成功した実業家の妻なら、当選できる」と言い、プロポーズをしました。 サッチャーはそれを受け入れましたが、デニスに「愛しているけど、他の女の人のようになれないわ。 …料理とか掃除とか子育てとか、そういうことより、大切なのは生き方でしょ。 ティーカップを洗っている人生なんてイヤ」と言いました。 デニスはその言葉を聞き、「そういう君だから結婚したい」と言いました。 そして、二人は『シャル・ウィ・ダンス』の曲に乗り、ダンスをしました。 サッチャーはその夜、1959年にコーンウォールに家族で行ったときのビデオを観て、懐かしみました。 すると「どうしたんだ。 君が過去を振り返るなんて。 そんな事をしていると、イヤな事まで思い出すぞ」と後ろからデニスの声がしました。 振り返ってもデニスの姿はありませんでした。 サッチャーはデニスとの間に、マークとキャロルの双子に恵まれ、幸せな家庭を築いていました。 またその一方で、1959年、34歳になったサッチャーは、保守党から下院議員に初当選を果たしました。 そして、政治家としての道を歩み始めたサッチャーは、幼い子供たちとの約束を反故にしてでも、仕事に精を出すようになりました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:5.紅一点のサッチャー、狂乱の世界へ 政治の舞台は、これまで男性ばかりで行われていたので女性に配慮され作られていませんでした。 その中に飛び込んでいった紅一点のサッチャーは、エアリー・ニーブ議員に「狂乱の世界へようこそ」と言われ、政治家としての階段を昇り始めました。 サッチャーは1970年、教育科学相となりました。 男性議員の怒号とヤジを制し、サッチャーは英国の学校が閉鎖の危機にあるのは、労働組合のストが原因と主張します。 それに対し労働党の男性議員は女性軽視の発言をし、労働者をストに突入させた原因は彼女が所属する保守党政権にあると反論してきました。 確かに、当時の英国では労働者のストが頻発し、学校はおろか、街中にはゴミが溢れて公衆衛生も問題となり、炭鉱労働者のストで電力供給も問題となっていました。 保守党政権は窮地に立たされ、首脳会議でエドワード・ヒース首相は、労働組合との妥協点を見つけ、状況を静観し事態をこれ以上悪化させないという方針を提示しました。 他の大臣が同意する中、紅一点のサッチャーはその妥協する方針に異論を唱えました。 彼女の脳裡に父の「我々英国人は強く、自立した国民です。 …我々、保守党は人々に自由と機会を与え、その能力を開花させなければなりません。 特に若者です。 人間は全て平等ではない。 …ですから、子供たちがより高い目標に向かっていけるよう保護すべきです。 その子たちが成長し、英国の明日を担うのです」というスピーチが浮かびました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:6.社会貢献が第一と考える女 1974年、英国の状況を改善しようとヒース首相降ろしの動きが出てきました。 サッチャーは「保守党の党首選に立候補する」と台所で言い出しました。 それは英国の首相になるということでした。 妻・サッチャーの言葉に、病気で静養を強いられていた夫・デニスは驚きました。 「主張を通す政治家が必要」とサッチャーはその決意の理由を説きました。 その頃のサッチャーは、政治のことで頭が一杯で、家庭の事は疎かになっていました。 夫・デニスはそんな妻に「君は本当に耐え難い女だな」と呟きました。 サッチャーは夫に「あなたが結婚したのは、社会貢献が第一と考える女よ。 これは私の義務で…」と主張しました。 夫・デニスは「義務が聞いて呆れる。 君を駆り立てているのは野心だ!…心配するな、一人で大丈夫だから」と言い放ち、台所を出ていきました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:7.親友であり良き助言者・エアリー議員の死 サッチャーは保守党内に揺さぶりをかけるために党首選に立候補しようとしました。 サッチャーの親友で良き助言者でもあったエアリー議員に相談すると、サッチャーは「党を改革したければ先陣をきれ。 国を変えたければ国を引っ張れ。 …一番重要なのは絶対にぶれないこと。 君は君の信念を貫け」と言われ、首相を目指すべきだという意見に担がれる形となりました。 そのために、サッチャーは裕福な婦人のような帽子を被ること、そして、パールのネックレスをつけることをやめるように言われました。 サッチャーは帽子の件は受け入れましたが、双子が産まれた記念のパールの二連ネックレスは外しませんでした。 サッチャーは英国首相になるべく、甲高いと言われた声を変えるため、ボイストレーニングに励みました。 そして、彼女は様々な所へ出向き、直接有権者たちに自らの思想を力強くスピーチして回りました。 「労働者を守るために組織された労働組合がいまや、労働者を苦しめています。 …さあ、皆さん、立ち上がりましょう!そして、職場に復帰しましょう!今こそ大英帝国のその名に恥じぬ、偉大な国にするのです!」などと。 そして、保守党党首選の大会の日、立候補したサッチャーは大歓声と大きな拍手で迎えられました。 その大会終了後、これまでサッチャーを支えてくれたエアリー議員は、大会会場を車で出た所で、アイルランド民族解放軍INLAの仕掛けた爆弾で暗殺されてしまいました。 サッチャーはその現場を目撃しました。 彼女は彼の死に悲嘆に暮れながらも、彼の言葉を胸に刻み、英国首相への道を歩みました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:8.サッチャー、英国初の女性首相に 1979年、総選挙の日が刻々と近付く中、サッチャーは「審判の日が近づきました。 どうぞ力を貸してください。 力を合わせれば社会主義の足かせを振りほどくことができます。 私たちが愛してやまない祖国の栄光を取り戻しましょう」と力強く訴えました。 夫・デニスもそんな彼女を応援しました。 そして、5月4日、ついにサッチャーは、英国だけでなく西欧主要国では初めての女性首相となりました。 民衆の大歓声の中、サッチャーは夫・デニスに励まされ、首相として初めてのコメントをしました。 「私は…その責任を果たすため、全身全霊を傾け、日々精進していきます。 …諍いのあるところに許しをもたらそう。 誤りのあるところに真理をもたらそう。 迷いのあるところに信仰をもたらそう。 そして、絶望のあるところに希望をもたらそう」と。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:9.幻聴に悩まされる老いたサッチャー 「真っ直ぐ正面を見てください」と医師に診察してもらっていた老いたサッチャーは、その医師に「幻覚を見ますかと」聞かれ「いいえ」と答え、「睡眠は?」と聞かれ「ちゃんと寝てます。 毎晩4~5時間。 夜も遅いですよ。 ずっと昔から」と答えました。 サッチャーは「主人を亡くして何年もなるの。 遺品を寄付するの。 慈善団体に。 人の役に立つでしょ」と医師に言いました。 そして、彼女は医師に「本当の気持ちは?」と聞かれ、「気持ち?最近は考えより気持ちね。 …これは今の時代の大きな問題ですよ。 人々は感情にばかり左右されて、考えやアイデアなんてどうでもよくなっている。 本当におもしろいのは考えやアイデアなのに。 自分の考えが言葉になる。 言葉に気をつけよう。 それは行動になる。 行動に気をつけよう。 それは習慣になる。 習慣に気をつけよう。 それは自分の人格になる。 人格に気をつけよう。 それは自分の運命になる。 考えが人間をつくるのよ」と語りました。 家に帰ったサッチャーは、幻聴で夫・デニスの声が聞こえ、思わず「デニス、いい加減にして」と呟きました。 彼女はその夜、K. フォレット作の『針の眼』を読んでいました。 その結末を夫・デニスはサッチャーに語りました。 もうデニスの幻聴にうんざりしたサッチャーは、テレビ、CDプレーヤー、ミキサーなど家中の音の出る物にスイッチを入れ、彼の声を遮断しようとしました。 そして、サッチャーは「おかしくならないの。 絶対に」と考えました。 すると、テレビで自分が主治医の定期検診から出てくる様子を映したニュースが、放送されていました。 アナウンサーは「最近、姿を見せませんが、20世紀最長の在任期間を誇る元首相は、今でも論議を呼ぶ人物です。 戦後の景気後退から脱却し、英国経済を立ち直らせたと言われる反面、容赦ない公費節減と民営化政策は各方面からの強い反発を受けました」と解説していました。 それを聞いたサッチャーは「自分で自分がわからない」と呟きました。 ベッドについたサッチャーの横には、デニスがいました。 サッチャーは彼に「テレグラフの素敵な記事を読んだ?歴史の流れを一変させた女性」と呟き、ひとり眠りに入ろうとしました。 しかし、首相就任して2年のときの強烈な批判の言葉を思い出し、眠れませんでした。 横にいるはずのデニスはもういませんでした。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:10.首相としての苦悩の2年間 サッチャーは首相になり、衰退する国内経済の建て直しを図ります。 しかし、当初2年はその成果は実らず、労働党から現状を突きつけられ、彼女が提唱した自由市場主義経済について「中産階級の拡大が目標だったが、現実には富裕層の富を増やし、貧しい者を切り捨てている」と強烈な批判を受けました。 民衆たちも頻繁にデモなどを行い、サッチャーは罵倒されました。 サッチャー内閣は早くも窮地に立たされました。 他の閣僚たちが焦る中、サッチャーは冷静でした。 そして、サッチャーは閣僚たちに「支出を削減しないと国が破産するのよ。 確かに薬は口に苦いわ。 でも薬を飲まないと患者は死んでしまうの。 …私たちは間違ってないわ!…今さら怖じ気づいてどうずるの」と一喝しました。 傍にいたジェフリー・ハウ財相は、そう言うサッチャーに「閣僚の精神を試すのはいいが、度が過ぎると危険だぞ」と忠告しました。 英国内では格差が生じ、各地でデモや暴動が頻発、警官隊との衝突もありましました。 「ハンガーストの囚人を救え」というデモも行われました。 それでもサッチャーは自らの経済改革を撤回せず、押し進めていきました。 そんな改革に反対する国民の一部による過激な暴動で、死傷者が出るような事件も頻発しました。 アイルランド統一を目指すIRAのテロも起こり、サッチャーは頭の痛い問題が相継ぎ、夜もよく眠れない状態でした。 しかし、彼女は首相として打ち出した信念を曲げず、「こんなときこそ、平常通り仕事をしなければなりません」と党内議員たちに訴えました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:11.1984年の爆破テロ事件 1984年、自分の抱いているビジョンをより正しく力強く訴えたいサッチャーは、夫・デニスとグランド・ホテルに泊まり、翌日のスピーチ原稿の推敲をしていました。 時刻は午前3時10分前、夫・デニスは歯を磨きながら、仕事に余念のない妻・サッチャーにもう止めて寝るように言いました。 その時、突然、激しい爆発音がし、窓ガラスが吹き飛び、石造りの建物が崩れ落ち、居間にはガラスの破片や瓦礫が飛び込んできました。 砂埃の中、奇跡的に無事であったサッチャーは夫・デニスを探しました。 彼も奇跡的に無事でした。 この爆破テロ事件はIRA暫定派によるものでした。 サッチャーはその時に夫は死んだと思ったほどで、また目の当たりした多数の死傷者が出たテロ事件で、老いてもなお彼女を苦しめる衝撃的なものでした。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:12.1982年、フォークランド紛争勃発 サッチャーにはまだ忘れられない事件の記憶がありました。 1982年の南大西洋のフォークランド諸島で勃発したフォークランド紛争でした。 その時、サッチャーは閣僚たちに、「アルゼンチンの軍政権はファシストの集団です。 我が国固有の領土への侵略は断じて許せません。 …私は犯罪者やゴロツキとの交渉には断じて応じません。 フォークランド諸島は英国領です」と自分の意見を明言すると、閣僚たちに意見を問いました。 サッチャーの意見を果たすには、軍は今すぐ行動を起こさねばなりませんでした。 財政面の問題もあり、彼女は悩みましたが、軍の体制が整い次第、英国軍を出動させる決断を下しました。 それを聞いた米国国務長官は直接、サッチャーに面会し、「あなたはあの島を巡って戦争を始めるというのですか?」と説得しに来ました。 しかし、サッチャーは決断を変えませんでした。 彼女は「これまでの私も毎日が戦いの連続でした。 大勢の男性に侮られながらね。 今度の相手も同じでしょうが、最後には必ず後悔するでしょう」と毅然と彼に言い返しました。 サッチャーは英国軍の体制が整った段階で「沈めて」と命令し、アルゼンチン軍に攻撃をしかけました。 2か月の戦闘の末、6月14日、英国軍の善戦の前にアルゼンチン軍は退却し、英国は領土を守りました。 しかし、多くの犠牲者を出してしまいました。 サッチャーは国のために死んだ兵士の遺族たち一人ひとりに、お悔やみの手紙を手書きで書き送りました。 サッチャーが見せた強硬な姿勢によるこの戦争の勝利後、サッチャーは国会で「我々は確信していました。 たとえ大きな犠牲を伴っても、最後には善が悪を倒し、勝利することを」と野党議員たちに力強く宣言しました。 これを契機にサッチャーは世論調査で史上最も憎まれた首相から、国家の寵児に大躍進しました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:13.持論を曲げないサッチャー サッチャーは国民から高い支持を得て、外交にも力を入れ、米国大統領レーガンとは親友になり、「愛を捧げよう、マーガレット・サッチャーに」という歌までできました。 低迷していた経済も回復していき、景気は天井知らずとなり、「サッチャー景気」と言われるまでいきました。 そして、サッチャーは任期10年目に入りました。 サッチャーはソ連最高指導者ミハイル・ゴルバチョフとも面会しました。 1989年11月9日には東西ドイツを遮断していたベルリンの壁が崩壊し、西欧は大きく動こうとしていました。 そんな中、ヨーロッパの統一通貨の問題が浮上してきますが、サッチャーは準備ができていないと言い、懐疑的姿勢をとりました。 そんなサッチャーの言動に、多数の保守党議員や閣僚たちから、もっと意見を聴き、妥協すべきだという批判的意見が噴出し始めました。 サッチャーは人頭税の導入を提案しましたが、閣僚たちから批判を受けます。 しかし、彼女は持論を曲げず、閣僚たちに厳しい言動を投げかけました。 次第に独善的になっていたサッチャーの人頭税導入案は、再び国民の強い反発を受けました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:14.サッチャー、首相を退任 そんなある日、ジェフリー・ハウが辞職を願い出てきました。 彼は国会で「私は党と国のために最善を尽くしました。 しかし、それも他に譲るときがついに来たようです。 忠誠に対する解釈の相違から出た軋轢、…」と辞職の言葉を述べました。 それを聴いた議員たちは、サッチャーへ嫌悪感を露わにし始めました。 そして、ジョン・メージャーがついに保守党党首選に立候補してきました。 夫・デニスの忠告も耳にせず、冷戦終結のための国際会議にサッチャーはフランス・パリに行きました。 その間、サッチャー降ろしの動きは速くなっていきました。 サッチャーはフランスから帰ると、票固めに入りますが、もう手遅れでした。 サッチャーを担ぎ上げてきた議員たちは彼女から離反していました。 サッチャーは夫・デニスの助言を聞き入れ、党首選で敗北するよりも名誉ある辞職をするという選択をしました。 首相として11年半という20世紀で最長の在任期間をまっとうしたサッチャーは、最後の日、真っ赤なスーツでその座を降りました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のネタバレあらすじ:15.「デニス、幸せだった?」 老いたサッチャーは、家で亡き夫に、当時のことを振り返り、自分を首相から轢き吊り降ろした議員たちに、「腰抜け」と悪態をつきました。 そして、サッチャーは「苦渋の決断を下すと、その時は国民に憎まれても、何世代に渡っても感謝される」と呟きました。 サッチャーは夫・デニスの遺品を整理していると、箱から昔の写真が出てきました。 サッチャーは夫・デニスに「私はただ社会に貢献したかっただけ」と呟くと、デニスは「君はやったよ。 貢献した」と囁いてくれました。 サッチャーは「そして、子供たちが育ち立派になってほしかった」と呟きました。 最後にサッチャーは「デニス、幸せだった?」と問いかけましたが、夫からの答えは聞こえませんでした。 サッチャーは夫・デニスとの想い出を消すように、彼のクローゼットや引き出しを開け、デニスの服や靴を黒いゴミ袋にどんどん詰めていきました。 最後にベッドに残ったデニスの旅行用スーツケースに、彼のナイトガウンをたたんで入れると、夫・デニスに渡しました。 デニスはそれを持ち、靴も履かずに家を出ていきました。 サッチャーは「まだよ、行かないで。 待って。 私はまだひとりぼっちになりたくないの」と懇願しますが、デニスは「しっかりしなさい。 君はひとりでも生きていけるよ。 今までもそうだった」と言うと、そのまま歩き、光の中に消えていきました。 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙の結末:16.エピローグ:穏やかな余生 老いたマーガレットは、認知症を患いつつ、夫の遺品を整理し思い出を振り切ろうとしました。 自分ひとりになって寝室で寝てしまったサッチャーを、娘・キャロルがやって来て起こしました。 目が覚めたサッチャーは、自分で飲んだティーカップを自分で洗い、娘と家政婦に支えられながら、その後、穏やかに余生を送りました。

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映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」から英語の名言を学ぶ

映画 マーガレット サッチャー

第二次世界大戦終結間際から1990年の首相退任までのサッチャーの政治家生活を描いた伝記映画。 夫に先立たれ認知症が世間に公表された頃を軸に、過去の主要な出来事を頻繁にインサートして、イギリス政界や当時の社会状況をダイジェストした記録もの。 映画「リトルダンサー」にある国営化政策の撤廃にからむ労働組合との軋轢、IRAのテロに対する強硬姿勢、アルゼンチンと戦争したフォークランド紛争、最後は人頭税導入で保守党内部で孤立するところなど、一応歴史のなかのサッチャーの立場は理解できる。 対して私生活は説明不足で、娘キャロルは何度か登場するも息子マークの成人した姿はなく、夫デニスとの婚約エピソードはあるが、幻覚に度々現れるほどの夫婦愛の核心は描かれていない。 故にサッチャーを演じたメリル・ストリープのひとり舞台に終わる。 20代はさすがに若い女優に任せ、中年から晩年までのサッチャーの妥協なき強靭な女性像を見事に演じて、実力をみせつける。 この演技で三度目オスカー受賞の名誉を獲得する。 ただ精巧なメーキャップが内面の表現を削ぐ晩年は個人的にあまり感心しなかった。 「クレイマー・クレイマー」「ソフィーの選択」、「フランス軍中尉の女」の名演には及ばない。 伝統に凝り固まった男性組織の硬直化を打破する、女性政治家の必要性をより深く描いても良かったのではないか。 副首相の辞任劇が生きたはず。 情報量は多いがドラマとしての面白さはない。 私の記憶では、首相就任後、強硬な政治姿勢を労働者階級から批判されていた記憶が微かにあり(私が覚えているのは当時ブリティッシュ・ロックを牽引していた「The Smiths」の強烈な批判コメントの数々)、良いイメージが無かったサッチャー首相だが、この映画を観て少し彼女の印象が変わった作品。 この映画は首相就任前の彼女の政治姿勢と、3度保守党党首として総選挙に勝利する過程や首相就任時の出来事の数々 1.支出削減制作 2.フォークランド紛争 3.人頭税の導入 ・・・・ そして、首相を退いてから認知症を患いながらも前向きに、高邁で強固な意思を持って生きた稀有な一人の女性の人生を描き出した秀作であった。 <2012年4月8日 劇場にて鑑賞> ネタバレ! クリックして本文を読む 気が強くて、 男社会の中にいても、 物怖じせず、 ガンガン主張をぶつけるマーガレット。 しかし、もともと強かったというのではなく、 強くならざるを得なかったのかも知れない。 物語の割と最初の方で、 「ティーカップを洗ったりするだけの人生なんて、耐えられない。 」 そうはなりたくない、だから自分は世界を変える、 首相に立候補するんだ、と後の夫に訴えて、 そんな女でいいのか、というプロポーズに対する返答だったのだけれど、 その、耐えられない人生だといった行為のラストシーンが、 なんだか物凄く印象的だった。 夫を亡くし、夫が幸せだったのかどうかが気になり、 自分が耐えられないと思っていた行為こそが、 本当は幸せだったのではないか・・・と、 もしかしたら後悔してしまっていたのだろうか。 だけど、間違いなく世界を好転させたのも、 彼女だったのだろうと思う。 ネタバレ! クリックして本文を読む 晩年認知症を患った彼女の回顧録という形。 "One's life must matter, Denis... beyond all the cooking and the cleaning and the children, one's life must mean more than that. I cannot die washing up the teacup. " と言ってプロポーズを受けた彼女ですが、ラストシーンはティーカップを洗っていたのが印象的でした。 歴史に名を残す首相とは言え、家族を愛し孤独に涙する1人の英国女性、ってことなんでしょうか。 彼女の政治人生も、彼女と子供とのつながりも、描写が少々中途半端ですが、大まかな流れを描いたって感じです。 考えがいずれ運命になるっていう劇中の格言、あれはマザーテレサのものだと思っていましたが… その他気になったセリフ "It used to be about trying to do something; now it's about trying to be someone. " 怯むことなく信念を貫いて実行に移してきた彼女らしさが出てました。 "I have done battle every single day of my life. " 男階級社会で戦い続けた苦労が伝わりました。 アメリカとの会談のシーン、母強し!圧巻でした。 かつてイギリスもアメリカのお母さんでしたね。 総合55点 ( ストーリー:40点|キャスト:75点|演出:55点|ビジュアル:70点|音楽:70点 ) 英国病と言われた大英帝国の落日と経済の停滞・ビッグバンといわれた経済の大改革・労働争議・IRAの反政府活動との戦い・フォークランド紛争に加えて、閉鎖社会英国における初の女性首相としての険しい道のり等、彼女にまつわる話題は事欠かない。 たくさんの困難にも負けずに大きな改革と前進を成し遂げたサッチャー首相を描く作品なので、そのような政治家としての半生を政治の裏側まで描くのかと期待していた。 しかし、具体的な問題や歴史的な事柄が明確に出てくるのではなく、サッチャーという家庭人や個人としての細かなことや人柄に焦点があたっていたし、それも抽象的な演出が多くてわかり辛い。 しかもそれは政治家を引退してからのことが中心になるし、時代が頻繁に前後するし、幻想と現実を行き来するのも分り辛さに拍車をかける。 細切れで政治問題も出てくるが、時代の大きなうねりを作り上げた政治家としての活躍が大きく取り上げられることがなく、せっかくの有名政治家なのにただの一人の人物としての描き方に終始している。 どんな問題が出てきて、それに対してどのような対策をとったのか、どんな目標をもってその達成のために何をしたのか、そのようなことが殆ど出てこない。 選挙に落ちた、選挙に勝った、爆破事件があった、そんな歴史的事実を途中途中に放り込んでくるだけで、彼女がそれにどう動いていったかを省いている。 メリル・ストリープの演技は良かったし、全体の質感は悪くない。 でも映画一本使って描くことが、鉄の女と言われた彼女にも家庭があって歳をとってからは幻想や痴呆に悩まされていました、だけでは明らかに物足りない。 監督が女性だから家庭生活に目がいったのかもしれないが、この偉大な政治家を取り上げるのならば、他に描くことはいくらでもあっただろう。 C 2011 Pathe Productions Limited , Channel Four Television Corporation and The British Film Institute. 「WAVES ウェイブス」 C 2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved. 「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」 C 2019 Gravier Productions, Inc. 「デスカムトゥルー」 C IZANAGIGAMES, Inc. All rights reserved. 「ドクター・ドリトル」 C 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

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